1. 書籍タイトル
書籍名 | 科学的根拠(エビデンス)で子育て 教育経済学の最前線 |
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著者名 | 中室牧子 |
出版年 | 2024/12/11 |
ISBN | 978-4478121092 |
書籍ページ | https://www.diamond.co.jp/book/9784478121092.html |
2. はじめに
子育てというものは、多くの時間的・金銭的な労力を投入するものである。時間もかかるし、血を分けた我が子であるという過度の思い入れもある。そういう意味で、本書を手に取ったとき、タイトルの科学的根拠ってものとの相性が悪いのかなーなんて思っていた。
本書は国内・海外の多くの論文を参考に、科学におけるあらゆる定見をエビデンス付きで解説してくれる内容である。いい意味で当初の予想は裏切られた。
著者は慶應大学の教授であり、最後にはエビデンスの扱いについても触れられるなど、巷の子育て本とは一線を画して、非常に慎重な議論が展開されていることが印象に残った
3. 学びと感想
通読した後に勢いで書いているので、具体的な内容には誤りがあるかもしれない。 是非本書を手に取って確認してもらいたい。
という前置きは起きつつ、印象に残ったことをメモする。
非認知能力の重要性
子どもには将来食うに困るような思いをしてほしくない、願わくば十分に成功をしてほしいと願うのは親の本能であると思う。成功といっても内面の成功は本人が獲得するもの。親として関与できるとすれば金銭的成功に十分に因果関係があると思われる学力の向上にコミットしてあげたい、そう思うのが昨今のトレンドなのではないかと思う。私もそうである。
本書では、そういったお勉強ができるといった類の能力を「認知能力」として扱い、それ以外の部分(忍耐力、自制心、やり抜く力…etc)を「非認知能力」として扱う。
そして、その非認知能力こそが将来の成功につながると言えるエビデンスが紹介されている。
詳細は書籍に譲るが、それらを身につける方法として、
- スポーツをすること
- リーダーの経験をすること
- 音楽や美術に打ち込む
などの方法も紹介しつつ、「好奇心を伸ばす」ことの重要性を指摘している。
なんとなく感覚として持っていた実感とも合致する部分である。
正直、大学受験のスコアやIQテストなんかはハックもできるし、人生における成功のほんの一部分しか説明できないのであるなという点で合点がいく。
それよりも、努力が身を結ぶという感覚を身につけさせて物ごとを縦に掘っていける資質と、好奇心を維持して横に幅を広げられる素養とを身につけることを手助けするのが親のできることなのかもしれないと思った。
とくにこれからはAI時代。知りたいと思って、実際に知ることができるまでの時間や労力がかつてないほど圧縮される。だからこその、「やり抜く力」「好奇心」をテーマにしていきたいと思った。
子育てへの時間投資は幼い頃ほど重要
NetflixやTikTokなど無料や格安で時間を奪うサービスが多く、現代の人々にとって時間というのは奪い合いの対象である資源である。また、これに関しては等しく全ての人に1日24時間が与えられている。
そんな中、子育てというのは特に時間がかかる。
私も子育てをしているが、子どもはとにかく時間を奪う。
圧倒的にかわいいし、本能に訴え庇護欲を高める謎の物質を発している。
しかし、全局面でそうかというとそうではない。
親であると同時に時間欠乏に悩む現代人である(さらに言えば、徳が低い)自分からすると、絵本を何度も読み聞かせたり、お絵描きに付き合うのはたまに苦痛である。
しかし、本書においては、親の時間投資は子どもが幼いときほど有効であることが示されている。
また、その時間投資は子どもの非認知能力の向上を助けて、残りの人生に複利で効いてくるというのである。
(現代人の人格を持った自分目線では)辟易とするような子どもとの遊びの時間の不毛さも、本人のためになるというのが科学的に証明されているのであれば、しっかりと向き合えそうである。
鶏口牛後
能力が同程度の生徒が、無理していい学校に入って成績が下位に沈むパターンと、余裕のある学校で上位をキープするパターンどちらがいいかという話であった。
能力が同程度ってどう測るねんという難しさにも触れつつ、結論は鶏口牛後とのことで後者パターンの方が成績や予後の人生がよろしい方向に行きやすいということが示されていた。
そこには筆者も共感する一方で、レベルの高い学校でこそ出会える人間関係というものも存在するとは思う。
一概に決められる問題ではなく、子どもの性格も踏まえて、よくよく子どもの意見も聞きながら学校選びをすることが大事。盲目的に高偏差値の学校を選ぶなってことだと理解した。
別学 or 共学
埼玉県在住に私としては、結構関心の高い話題である。
別学の方が東大進学率はいいらしい。
で、別学の方が成績が良くなりがちなのはなんでってことに触れられていた。
私が印象に残ったのは、以下だった
- 男子校の場合はロールモデルとなる同性の教員が多いから
- 女子校の場合はステレオタイプの脅威が薄まるから
特に女子については、「女子だから体育ができない」、「女子だから数学が苦手」などのステレオタイプが本当に現実になってしまうというものらしい。
女児の父として、共学別学云々ではなく、この手の呪いを私自身が本人に与えないようにしなければと思った。
早生まれの是非
やっぱり早生まれは不利。これは世界共通。
日本以外の先進国は早生まれは次の学年になってもいいって制度もあるらしい。
でも、それは結局金持ち優遇だよねとも言われてるとのこと。
かくいう私も第二子は今年の4月上旬誕生予定であり、場合によっては早生まれになる。
エビデンス的には4月にどうか…生まれてくれ…という願いはある。
しかし、早生まれの不利も紐解いていけば、幼少期の「勝ち癖」のような思い込みの類に終始しそうである。どこかのタイミングでその差は相対的に小さなものになるはずた。
そういった早生まれだから…のような思い込みに左右されないようにしてやる必要があると感じた。
あくまで統計上の話
冒頭で著者も触れていたが、学術的な論文をもとにエビデンスを以て各種言説に触れるが、あくまで平均や分散など統計的な話である。
個別の子どもにはその特性もあり、あるプラスの傾向に当てはまるからといって必ずそうなるわけではないし、逆もまたしかりである。
今回示されたエビデンスについて意識はするものの、自分の子ども個人にしっかりとフォーカスすることを忘れてはいけないと思った
最後に
エビデンスとともに子育てトピックにおける傾向と対策に触れてくれていた。
特に軽視されがち(というか意識されないがちって感じ?)の「非認知能力」の重要性については改めてはっとさせられた。
原理原則は同じで子どもにしっかりと向き合いながら、学力伸長に偏執しない子育てを意識したいと思った。